霜月

十一月のはじめの立冬から、翌年二月の節分までが暦の上の冬である。
霜をみることが多くなるところから、霜月とも、霜降月ともいう。炉開きに続いて、十一月には口切の茶事が催される。これは、その年の八十八夜に摘んだ茶を壺に詰めたものの封を切る茶事のことで、お客様の前で、その日に茶壺の口を初めて切ることから、口切といわれている。古来、これを茶人の正月として、これほどの大事はないということで、厳粛な心構えを大切にしている。新年を迎える気持ちで、おめでたいかたちを取り合わせ、お祝いの心を表現する。はなやいだ気持ちで、幸福の福をに通じるふくを用い、なにかひとつ結んだものを添えれば、お祝いごとにふさわしい。野山は紅葉におおわれ、冬の前の一時の華やぎをみせる。霜がおりはじめると、そろそろ「火」への懐かしさがわいてくる。鍋物の季節の到来である。ふくも、刺身でよし、ちりでよし、旬の味を尊びたい。

【霜月の献立】

『ふく百華』出版委員会発行 『ふく百華』より抜粋
制作協力:天白ひらこし