文月

炎夏。太陽は燃え盛り、人は生気をなくしていくようである。しかし、なんとか暑気払いをして、夏を乗り切らなければならない。
懐石では、「この季節、味はどこまでも淡白に。諸家具少なめに簡素に、盛り込みは量を少なめにして後味の涼しさを大切に」と説いている。
避暑のため、水辺に涼を求めるのもいい。
関門海峡をわたる風が、潮の香りを運んでくる。岩場に宴の席を設け、ギャマンの杯になみなみと冷酒を注ぐ。やがて黄昏時を迎え、空にはひとすじの天の川。牽牛星と織女星が年に一度、7月7日の夜に出会うという中国の伝説に思いをめぐらしてみよう。
すがすがしい自然のなかで、お茶を楽しむのも、また趣がある。約束ごとにとらわれるのではなく、 おおらかに大自然との邂逅を楽しむ。まさに涼一味の心境である。

【文月の献立】

向付 霜降りふく平作り
梅肉醤油 木の芽
沢煮椀 ふく皮 とおとうみ
牛蒡 人参 水菜 えのき茸
椀物

潮汁仕立 ふく 冬瓜
三ツ葉 針生姜

焼物

七味揚げ しし唐

強肴 白子味噌漬
中里太郎右衛門 作

 

『ふく百華』出版委員会発行 『ふく百華』より抜粋
制作協力:天白ひらこし