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「スクリプター」と聞いて、どんな事をする仕事か答えられる人は、一体どれぐらいいるのだろうか。
映画作りの準備から仕上げまで立ち会い、撮影の間は監督の側を片時も離れない。シーンごとの俳優のアクションやセリフ、エキストラの動き、小道具の位置など、今映っているシーンの全てを把握し監督の意向を聞いていく。スクリプターの仕事量は、想像以上に膨大なものになる。
――まずどのような仕事から始まるのですか。
「まずは、台本を読んでシーンごとの時間や自分の考え等をチェックし、監督やプロデューサーに伝えるところから始まります。シーンごとの時間も台本をストップウォッチ片手に読んでいって、だいたいの時間を計っておきます。実際撮影に入ると誤差が出てきますので、時間が伸びそうなシーンなんかは、監督に事前にカットする部分を相談したりもします。
映画の撮影は、話の順番に撮っていくのではなくてバラバラに撮りますから、繋いだ時にシーンの前後がきちんと繋るようにその状況を全て記録しておかないといけません。例えば手を上げているシーンの続きを撮る場合、手をどんな角度であげていたかなど、シーンごとの細かい所までキレイに繋がるようにチェックするのもスクリプターの仕事です。
それから撮影終了後、監督の意向をスクリプト用紙(監督の意向などがかかれてある用紙)を元に、編集部に伝えます。編集部の人は撮影現場には来ませんし、監督とも直接打ち合わせなどしませんから、スクリプターが間に立って橋渡し役となるんです。仕上げにも立ち会って監督に何を聞かれても答えられるよう、全てを把握していないといけませんね。」
――スプリクターは女性がほとんどとの事。細かな仕事という事でやはり女性が向いているのですか。
「スプリクターは、監督の相談相手にならないといけないことがあります。監督の周りって、助監督やカメラマンなど男性はたくさんいますよね。でも違う視点で相談相手になれるという面では女性が向いているかなと思います。極端に言うと現場の奥さんみたいな位置かなとも思いますね。」
――そもそもこの仕事に就いたきっかけは?
「とにかく映画が好きで、映画に関わる仕事がしたくて大学は映画学科のシナリオコースに進みました。4年生の時に教授の紹介で撮影所に見習いで入ることができたので、そこから現場でスクリプターの勉強をしました。それからもう23年が経ちますね。初めは見習いで半年頑張って、それからやっと一人で現場に立つ事ができました。授業で勉強しても、実際現場でしかわからないことってたくさんありますから、現場からのスタートでよかったと思っていますね。」
――これまでのお仕事の中で失敗談はありますか?
「今思い出しても悔しいのは、チルソクの夏での失敗ですね。テストのときに女優さんに付けていたものを、本番でそのままにしてしまってNGになってしまったことがあります。みんな安君の歌を聞いて涙ぐむという大切なシーンだったのに、撮り直しになってしまって、監督に対しても頑張ってくれた役者さんに対しても申し訳なくて…。」
――最後に、スクリプターを一言で表現すると?
「芸者さんかな。芸者さんって、お客さんからお呼びがかかると出掛けて行って芸を披露するでしょ。指名されて行く以上、期待に応えなくてはいけないし、いつ声が掛かってもいいように常に勉強して芸を磨いておかないといけない。いくつになっても日々努力ですね。私も23年この仕事をやっていますが、今でもクランクインの前日は緊張して眠れません。こればっかりはしょうがないです。私の生活の80%が仕事ですから、作品は私の子供のようなものですね。」
小柄でとってもスリムな山下さん。ハードな仕事をこなしていくパワーの源は、やはり作品を愛する想いなのだろうと思う。
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